杜 ~フォレスト~

ぼくが考え、書いてきたこと

文学フリマ東京39出展誌『汽水域』用原稿、ちょっと出し。

2024年12月1日(日)の文学フリマ東京39に出展予定の同人誌『汽水域』に寄せる原稿の一部をちょっと出しいたします。誌面では縦組みとなりますが、今回はブログ仕様で6500文字程度のうちの冒頭500文字くらいをお届けいたします。

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 (序)

刑務所内にカメラが入り、二年の取材を経た映画が二〇二〇年一月に公開された。坂上香監督作品の『プリズン・サークル』だ。市民による自主上映会が展開されていることでも話題となったこの作品の主な舞台は、官民混合運営型の「島根あさひ社会復帰促進センター」である。「刑務所」とは冠されてはいないものの、最大収容者数二〇〇〇人、初犯から刑期八年までの男性を対象としているれっきとした刑務所である。

しかし、この映画は「刑務所について」の映画ではない。この映画を基として、坂上は雑誌『世界』誌上で二〇二〇年から一年の連載をした上で、同名の著作を単行書として刊行しているが(二〇二二年三月)、そこでも

語り合うこと(聴くこと/語ること)の可能性、そして沈黙を破ることの意味やその方法を考えるための映画だと思っている(※ 一)

と述べている。

振り返ると、私たちの生活はとは、一見「語り」に満ち溢れている。しかし、それらの「言葉」は、真摯に、または豊かに受け止められているのか。そのことを、何冊かの書物を通して共々に考えていこうとするのが、本稿の目的である。

(※ 一)坂上香『プリズン・サークル』プロローグ「新しい刑務所」 xvii(二〇二二年)岩波書店

なお、当記事は「下書き」ですので、製品化されたものとは内容が異なる場合があります。お含みおきください。